お久しぶりです! しげるです。
季節も8月に入り、日本も中国も毎日うだるような夏のど真ん中を迎えていますが、お元気でしょうか?
今年も昨年にも増してめちゃくちゃ暑いですよね。温暖化という言葉では足りないような半端ない暑さが続いていますが、どうか十分に水分を摂って熱中症になどなりませぬよう、体調に十分気を付けて下さいね。
いや~、ところで、ブログを50記事書き終えてから、なんかちょっとした達成感を感じてしまい、50記事を書き上げた自分に酔いしれ、自分を褒めてやろうと思い、1か月以上もサボり、いや、休憩時間というか充電期間と言いますか、つまりお休みを頂いてしまいました(笑)。
いつも私のブログを楽しみにしてくれているあなた様、大変お待たせ致しました。私はブログを書くのを辞めたわけでも諦めた訳でもなく、本業の仕事に追われブログに割ける時間がなかなか得らなかっただけなのです(よくある言い訳)。
でも、毎日ブログへのアクセスがあり、読んで下さる方がいると思うと、やっぱり書かなきゃ、私のつたない経験でも少しでもお役に立つならお伝えしなくちゃ!と心の底から突き上げるような気持が出てきて、このブログを書き始めた次第です。ハイ。
ところで、今回で51記事目になる私のブログのテーマですが、本業の方では日系メーカーの海外営業担当として中国に赴任を命ぜられ25年にもなり、早くも来年で定年を迎える老齢サラリーマン営業員なのですが、自分は営業に向いていないと思いつつ、日一日とコツコツと年月を積み重ね、廻りの皆様の力を借りながら、知らぬ間に中国で25年間も営業をしている自分に気づき、これから中国で営業をされる方や既にされている方に何らかの役に立つ記事を書けるんじゃないだろうか?と思い、生越ながら記事を書こうと思いました。
そこで、今回は、「経験者が語る!中国人相手の営業で大切な5つのこと」というテーマで記事を書いてゆきます。
- 中国人相手の営業で大切な5つのこと
- 中国ならではのビジネス習慣
- 私の営業失敗談と教訓
- これから中国で営業をやるあなたへのメッセージ
中国人相手の営業で大切な5つのこと
① 名刺よりも微信(WeChat)を活用しよう
中国に来て仕事するなら名刺も大事だけど、それ以上に大事なのは「微信」(ウィチャット/WeChat)です。
中国では、2023年に至る今現在でも、日系企業でもそうでなくても名刺を使っている企業は沢山ありますが、企業と企業のやり取りは電話や電子メールもありますが、もう「微信」が主流です。
微信が主流になった事で、確実に相手に意思が届く事と、ペーパーレスの観点から、中国ではもう「ファックス」は衰退しているといっても過言ではありません。私の勤める中国の会社もファックスはもう使用停止にしています。停止した後も、その後の外部との通信に何ら問題はありません。
もしあなたが、会社の営業部に所属し、営業担当社員として、顧客となりうる相手企業の営業やキーパーソン、そして購買担当者とお近づきになるには、初対面でも、遠慮せず、タイミングを見て、「我们加个微信把!」(ウィチャットを交換しましょう!)と言って、お互いの携帯を差し出して、ウィチャットを交換する事をお勧めします。
その理由は簡単。
その人と「一対一の仕事上の関係」を築くきっかけになるからです。
ウィチャットを交換したら、その場で念のため相手に自分のウィチャットが確実に登録されたかどうか確かめるために、
「您好!我司XXXX公司的XXXX。请多多关照!」(こんにちは!私はXXXX会社のXXXと申します。宜しくお願い申し上げます!)
などという簡単なメッセージを送って相手からもメッセージが来るのを確かめます。お互いにメッセージが届いているのが確認出来れば登録完了です。
ハッキリ言って、「名刺」って相手から頂いても、会社名とか名前を確認するだけで、その後名刺入れに入れてしまうか、机の引き出しの中に入れてしまって、見ないですよね(笑)。
わざわざあとから取り出して電話をして、メールしてなんてあまりやりませんよね(昔はやってました)。あとは、名刺って紙なので後で紛失する可能性はあるし、保管するのに場所は取るし管理が面倒くさいしと、あとでどこに置いたか分からなくなるのがオチです(少なくとも私の場合)。
そこで出てきた中国発祥の文明の利器「微信」。
現代社会のSNSの発展は良い面とそうでない面があるものの、便利になっている事は確かです。
メールよりもはるかに使いやすく、即効性があり、リアルタイムでやりとりが出来て、外出中でもササッとスマホでチェックできる超便利なアプリです。時間が勝負の営業活動ではまさに大活躍するアプリです。
簡単ですが、「微信」のメリットを下にポイントとして纏めておきます。
- 常にリアルタイムで相手と繋がっている。即連絡可能。
- 電話しなくても言葉や画像、動画、地図等を送る事が出来る。
- 仲の良い相手には様々な絵文字を付けて気持ちを伝えられる。
- 必要ならグループチャットを作り関係者同士で繋がる事が出来る。
- 操作がラク、事務所でも外出中でもすぐやり取りができる。
- 時間が勝負の営業の場合、すぐ相手とやり取りができる。
- 相手と一対一の仕事の関係を築くことが出来る。
- 電話で言いにくいことも、言葉や音声で伝えられる。
- WordやExcel、PDFなどの書類や画像も送信できる。
- PCにダウンロードしてPC上で操作もできる。
上記以外にもまだまだメリットがありますが、ここでは割愛します。
あなたも是非「微信」を使いこなして、仕事の効率をアップさせて業績アップさせちゃいましょう!
② こちらから会いに行って敬意を伝えて仲良くなろう
世の中には在宅で相手に会わずとも出来る営業活動はあります。例えば、テレホンアポインターとかですね。しかし、相手が人間である以上(普通は人間であると思います(笑))、感情がある生き物。あなたも相手も。
どんな商品やサービスを売るにせよ、一番良いのは「お互い顔を見て話をすること」、だと思うんです。
私の勤める会社場合、「食品」という誰の目にもわかる、誰でも食べられる「モノ」を販売していますので、商品の特性上、相手に商品をお見せして、商品のスペックやセールスポイントを説明し、食品なので何よりも「食べて」頂き、その美味しさや他社との違いについて説明する、そして、様々な取引に必要な商談をして、最終的にご注文を頂き、工場で生産し、納品し、代金を頂き、そして領収書を発行する、というのが一連の基本的営業活動になります。
相手はこちらが生産する「モノ」を購入して下さる「代理店の営業担当者」や「小売店のバイヤー」なので、こちらから訪問する、というのが基本的営業姿勢となります。もちろん、相手の会社のルールや詳細な商談で、相手からこちらに来て頂く場合もありますが、十中八九、こちらから相手を訪問する事になります。
過去約3年間、新型コロナウィルス感染の広がりにより、中国国内では国として感染予防対策が徹底され、人の外出規制や検査規則が非常に厳しくなり、その結果、その当時は在宅勤務が主流となりました。今振り返れば、歴史に残る出来事だったわけですが、今では、完全に自己責任となり、個人で必要と判断すればマスク着用等の防御対策をして、自由に国内外へ行き来できるようになりました。
話が少しずれましたが、要は営業活動をするなら、やっぱり自分から相手を訪問し、直接会い、商談をする。それにとどまらず、お互いに雑談や情報交換などをして、仲良くなり、人間としての信頼関係を築く、その結果、相手により一層販売に協力してもらう、という事が大切になると思います。これは何も日本だけに限らず、中国でも全く同じです。
広大な国土を持つ中国なので、営業と言ってもその移動手段は主に「高速鉄道」(いわゆる新幹線)や飛行機となります。中国と言えども、交通費は決して安くありませんし、出張となればその行く土地に宿泊する必要も出てくるので、ホテル代も必要になり、会社としての経費も大変多くかかる部門なのです。
会社の上司からは、「出張経費を掛ける分、注文を取って来い!元を取れ!」などとハッパをかけられることは営業員なら誰しも経験している事でしょう。それはごもっともなのです。経費を掛けてゆくからにはそれを回収するだけの注文や契約を取って来る必要があるのです。その場で取れない仕事もあるんですけどね。
この、こちらから会いに行く営業、のメリットを纏めると下記の通りとなります。
- 相手に直接会うことで、相手との心の距離が近くなる。
- 相手からすれば、直接会いに来てくれたあなたを商売上重視する。
- 商談相手のみならず、その会社の上司や関係部門の方と挨拶出来る。
- 相手の会社の状況が、商談する相手の話から分かってくる。
- 商談のみならず、雑談を通し、いろんな情報交換ができる。
- 営業としてあなたの「顔」を相手の会社に売る事が出来る。
- クレームや問題点を素早くキャッチし、早期解決が出来る。
- 日本人が一生懸命中国語で話すことは、相手の心を動かす。
- 外国人でも中国での営業ができる、事を示すことが出来る。
- 弾丸のように浴びせられる中国語で、耳が慣れてくる。
余談ですが、私の勤める中国の会社の日本人同僚からは、「日本人に中国の営業など出来るわけがない、現地の事は現地の人間にやらせるのが一番」と言われていますが、私は結果を含めてそれをことごとく破壊している日本人の一人です(笑)。
あなたも破壊したくないですか?出来るところを見せてあげましょうよ。
③ お客さんと食事をして非公開情報を入手しよう
中国に来て営業するなら、たまには取引する相手を「食事」に誘うといいです。
これも別に中国に限った話じゃないと思うんですが、相手と「食事」をするということは、それが誰であれ、基本的にはお互いに一定の何らかの関係があるはず。見知らぬ人とは普通食事はしませんから。プライベートでもビジネスでもそれ以外でも、だれかと食事を共にするという事はよくある事ですよね。
私の今回のこのブログでは「中国人相手の営業」というテーマで書いていますので、ここではそこに絞ってそのテーマに則ってお話をしたいと思います。
先ず、大きく分けて2つ。「大きな食事会」と「小さな食事会」です。
「大きな食事会」とは、相手の会社のトップの董事長、総経理や経営幹部、そして営業幹部やマーケティング幹部、或いは更に発注担当者や財務部のトップなどの相手の会社のトップの方々との複数人数での食事は、ちょっとだけフォーマルになる食事となります。
「小さな食事会」とは、イメージでいうと、相手が気の知れた営業マネジャー一人、或いはその部下の方々と自分を含めた2-3人だけの食事のような比較的カジュアルなシチュエーションの食事があります。
私も中国に駐在してこの25年間、それはそれは大小様々な食事会に出て、美味しい料理も食べましたが、いろんな経験もしました。数えることなど出来ませんしそもそも数えていません(笑)。
「大きな食事会」を開く場合は、普通は自分の勤める会社の総経理や副総経理等の経営トップの方が出席して、食事をする相手の会社もそれ相応の経営トップの方々が出席するのが普通です。とは言っても、中国の場合は、フランクな関係性もあるので、こちらが私のような一塊の営業マネジャークラスでも相手の会社の総経理、副総経理クラスの方が出席してくれる場合も多いです。
中国の食事のマナーの事を書くと長くなって堅苦しくなってしまいますのでここでは細かいことは言いませんが、ざっくり言うと次のようなことに注意していれば大丈夫です。
- 大人数の食事会の場合は、ちょっと大きめの個室を用意すると良い。
- 少人数でも個室の方が静かでゆっくりと話が出来るので良い。
- 大きい丸テーブルなら目安としてだいたい10人程度座わることができる。
- 相手の会社の一番偉い人が誰なのかをきちんと確認し、個室の入口から一番奥に位置する椅子に座るよう案内する。
- 相手の会社の一番偉い人の隣に自分の会社の偉い人が座るようにする。
- メニューは相手の会社の方に選んでもらってもいいし、自分の会社の社員が選んでも良い。自分と相手の両方で一緒に選んでも良い。
- お箸は公用と自分用の2つがある。料理を取る時には公用を使う事。
- お酒は飲める人、飲めない人がいるので、飲めない人の分はその店で提供できるソフトドリンクやお茶を用意する。
- お酒は相手に無理強いはしない。こちらから誘って乾杯或いは随意と言って飲む。
- 近年は、ビールやワインを楽しむ場合が多く、白酒や紹興酒を飲む機会が少ない(私の経験)。
- 車を運転する人にはお酒を勧めない(あたりまえ)。
- 公用の箸で、テーブルの上の料理を相手に分けてあげること。
- テーブルに料理が来た場合、まず相手から手に取るよう勧めること。
- 大小どちらの食事会でもテーブル上の食事は残しても構わない。
- テーブルの料理が残っている場合、お開きの時に「打包」(持ち帰り)する時もある。これは失礼な事ではなく、料理を無駄にしないようにするよくある習慣。
- とにかく、会話をしつつ、楽しく食事をすること。
- 時事ネタや日中両国の問題などの話はしないこと。
- こちらから食事に誘った場合、必ずこちらがお勘定をすること。
- 食事代の支払いは、さりげなく席を立ち、外のレジで支払いを済ませること。
- 会社の接待の場合、大小人数問わず、割り勘は絶対ありえない。
- 会社の営業活動としての接待の場合、経費で落ちる場合がほとんどだと思うので、发票(正式領収書)をお店から貰いましょう。
相手の会社の営業幹部と食事をすると、食べながら、飲みながら、堅苦しさも溶けて、お互いにいろんな事を話す場となります。
営業以外のプライベートな事や中国や日本、そして世界の話題、あなたが日本人という事であれば日本の文化や制度などを聞かれることもあります。なので、日頃から日本の文化や習慣、経済、国の制度(例えば日本の社会保障制度など)、最近のニュースなど、広く浅くでも知識を持っておくと、こういう時の話のネタになり、相手が興味を持ってくれて話がはずみます。
それから、食事をする相手の立場もありますが、タイミングを見て、こちらが仕事上困っている事や求めている事をさりげなく相手に伝えてもいいと思います。あなたにアドバイスや今後の力になってくれる場合もあります。また、相手から相手の会社の実情やその先の取引先との問題や「実は~」など初耳のネタを聞くなど、「棚ボタ」的な情報も得られたりします。
中国の食事会は情報の宝庫。親密な関係構築の鍵。
普段食べられない中国の美味しい地元の料理を知って楽しむ場。
営業として最新の情報をキャッチしデキる人材になるための場なのです。
④ 出来る事、出来ない事ははっきり伝えよう
中国で営業活動をしていると、取引する相手からいろんな判断を求められます。いわゆる、「イエス」か「ノー」か、です。
即答で回答できる場合は、その場で「出来る」か「出来ない」を伝えましょう。
中国人はスピード感のある回答を好みます。
何故なら、中国のビジネスチャンスは時間が勝負だからです。
でも、一旦「出来る」或いは「出来ない」を言うと、それを軸にそのまま話が進むことになりますので注意が必要です。あとから、「やっぱり出来る」、「やっぱり出来ない」は相手を怒らせ、トラブルを起こし、信用を失うきっかけになります。
当然、即答出来ない場合や、答えは出ているが即答すると気まずくなる場合もあるので、その場合は、
「我研究一下」(検討します)
とか
「我考虑一下」(考えておきます)
と言って、一旦宿題として持ち帰るのもありです。相手もそのくらいの時間はくれるのが普通です。
そして、回答を持ち帰ったのであれば、「遅くとも1週間以内」には返事をするようにしましょう。返事は電話でも良いし、電話しずらければメールでもウィチャットでもいいです。でも、生の声を届けられる電話の方が、相手に気持ちをダイレクトに伝えられるので、お勧めです。でも、相手からメールで要望が来たのであれば、同じくメールで返答するようにしましょう。メールにccが付いていたら全てcc付きで返答するようにしましょう。
営業って、外部である取引先と内部である自分の会社の上司や同僚、関係する全ての部門と深く関わる仕事をして、板挟みのようになっているので大変ですよね。いわゆる、「外」と「内」のつなぎ役です。お客様の要望も無下に出来ないし、社内の意向も無下に出来ない。外と内の意見がかみ合わない場面などいくらでもあります。その営業活動の中に日本語と中国語でのコミュニケーションが入り混じる。その狭間でやりくりしなくちゃならないので大変です。これは中国で営業をする場合も全く同じです。
⑤ 営業活動はトップダウンで進めていこう
中国でも企業の組織って明確になっています。
企業のトップ(会長にあたる董事長や社長にあたる総経理)をはじめ、各部門、例えば私の勤める中国の会社の場合、製造部、包装部、総務部、営業部、財務部、品質管理部。そして、各部門ごとの組織があり、それぞれに上司と部下がいます。
中国の企業の社内の指令系統は、私が知っている限り、大企業でも中小企業でも「トップダウン」が多いですね。特に、総経理の指令は絶対的です。
会長にあたる「董事長」(英語で言うところのChairman)はあまり経営にでしゃばる事は少なく、社長にあたる「総経理」(英語で言うところのGeneral Manager)が本質的な経営の実権を握っているように見えます。
私自身も営業マネジャーとして日々取引先と連絡したり、中国国内各地への出張を通して取引先企業を訪問したりしますが、その取引先企業の董事長を訪ねる事は少なく、実権を握るその企業の総経理と面識を持ち、出来ればウィチャットも交換したりして、お近づきになり、アポを取ったりします。ある程度の面識に慣れたら、先方の会社の営業部の方と一緒に食事をすることもあります。
大事な商談がある場合はもちろん、特に商談事項が無く取引先との営業状況の報告だけでも、はやり総経理と先に会って報告や商談を行ない、基本的な同意や協力を得られるようにして(つまり、トップを押さえておくこと)、その後に営業部のマネジャーたちと会って商談や情報共有をする、という段取りで進めています。その方が、スムーズに進みます。
総経理とだけ、或いは営業チームとだけ、商談すればいい、というのは間違い。それだとうまくゆきません。総経理から下の営業チームへトップダウンで指令が飛ぶので、上下とも押さえておかなければならないので、商談内容によっては同じ内容を上下ともにしなくてはならず、大変です。これって、日本でも中国でも一緒ですよね。でも、総経理がある程度の決裁権を営業マネジャーに与えている場合は話は別です。
営業活動の中で、込み入った細かい話は営業チームとすべき事なので、何から何まで総経理に報告、相談をする必要はありません。大局的な重要な事項だけでいいのです。総経理も他にやる事がいっぱいあります。相手が話していればいいですが、こちらから一方的に話し続けたり、長時間に亘り商談をするのは嫌がられますので避けましょう。
営業チームは、内容によっては総経理に聞かれることを嫌う人もおり、本音を聞けない場合があるので、営業チームのマネジャークラスの担当者とは総経理を含まずに1対1で商談をすることをお勧めします。その中でお互いに話を纏めて、総経理に報告する、というスタイルがいいと思います。
総経理に先ず会うのは取引先企業に対する「リスペクト」。
その後の営業マネジャーとの商談がうまくゆきます。
上層部と下部組織との良好な人間関係が商売をうまく行かせるコツです。
相手もこちらの動きを見ています。
私の営業の失敗談と教訓
ここで、私の営業の失敗談と教訓と題して数ある失敗の中から一つだけご紹介します。
私自身、ある日系メーカーの海外営業を長年担当しており、入社して5年が経った1996年に日本の本社より中国の子会社への赴任を命ぜられ、その後25年もの間ずっと中国で営業活動をしています。
中国の子会社は海外企業との合弁会社だったので商品の製造は自社が担当、販売は合弁相手企業が担当でした。
最初は少しだけ売れていましたが、それは1年も満たない短期間だけ。その後は販売は思うように伸びず、売上は横ばいから下がる一方。営業努力もしましたが、大きな伸びも見せず、それが続いて商売が行き詰っていました。本社の社長からの巨大なプレッシャーと罵声がかかっていました。
そんな行き詰っていたある日、自社の営業社員が中国のある売り先に目を付けて大きな売上を作れる可能性がある、と行ってきました。
話を聞いて藁をもつかむ気持ちで、そこに飛びついた私はその新たな売り先の方と知り合い、可能性を信じ、確信し、今まで合弁会社に販売していた商品をその新たな取引先にも販売をし始めました。その方が売上が上がると思ったからです。
そして、合弁会社である代理店とは別の販路として新たな代理店をもう一つ作り販売を開始。思った通り、新たな代理店向けの販売は絶好調で、売上はうなぎ上り。会社の業績も大幅に改善され、工場も多忙な日々を送ります。その結果、社員の福利厚生も還元され、香港や中国国内へ社員旅行にも行けるようになりました。その売り上げは合弁会社の売上の何倍にも膨らみました。
しかし、その嬉しさとは裏腹に、大きな問題が発生しました。
合弁会社側より大きな不満の声が上がってきたのです。
つまり、元々代理店とすべく中国で海外企業と合弁会社を作り事業をスタートしたにもかかわらず、途中で新たな取引相手を見つけそちらにも同じ商品を売る、という行為をしたためです。
そうです。
つまり浮気と一緒です。
今の女房がパッとしないから、派手な別の女性に手を出したわけです。
既存のパートナーと新たなパートナーの売る商品は全く同じ、しかも売り先は中国国内市場。末端の販路もバッティングし、既存と新規のパートナー同士が同じメーカーから買った商品を中国の同一の販売先で価格競争を激化させるという、メーカーとしてのモラルを問われる大問題が発生したのです。
この問題の真偽を合弁のパートナーから聞かれ、私が「その通りです」と話すと、相手はその場で顔色を変え激怒。どんなに理由を行ってもダメ。もうそこからは、既存の合弁パートナーからの私に対する様々なバッシングと嫌がらせが始まりました。
そうです。
私は合弁パートナー企業の「メンツ」を潰してしまったんです。
合弁パートナー曰く、「この会社は日本と海外の合弁企業だ。だから企業名にも我々の社名が付いている。販売を担当するのは当然我々だ。それなのに、あなたがした行為のせいで、我々は中国各地の取引先から、お宅の商品が違うルートで安価で売られている。どういうことだ?と迫られている。あなたは我々のメンツを潰したんだよ?わかっているのか!」
そこからは、揚げ足を取るように私のした仕事のちょっとした欠点を日本の社長に密告され、それを聞いた日本の社長から私にあれこれととんでもないことをした、と罵詈雑言を浴びせられる日々。社長からは、「もうあんたは良くて左遷される立場だ。普通はクビだ」と宣告されたのでした。
そして、一度は合弁先企業の上層部の方とお会いし謝罪する場を得られましたが、その後は一切会ってくれることは無く、未だに会ってくれません。合弁先の方々は皆良い方ばかりですが、私が合弁パートナーとの良好な関係に大きな傷と溝を作ってしまったのです。
そして、好調だった新たな代理店向けの売上はコロナ感染拡大と市場の激化に伴い、売上が年を追うごとに縮小してゆき、いまでは売上が小さくなってしまいました。
この問題が起きたのは今から10年以上前ですが、まだ解決していません。いまでも合弁パートナーと新規のパートナーとの取引の関係は続いています。
私も心から深く反省し、合弁パートナーとの関係回復を目指し、動いてきました。少しずつ売上も回復してきました。いまでは、合弁パートナーの売上を重視しなければやっていけない状況です。10年以上前に大問題になった事ですが、未だに未解決なので、合弁パートナーはいまでも、「新規のパートナーとの取引は止めて、当社とだけ取引をしてくれ」と切実に言ってきています。
これ以上深く書くことは避けますが、中国で商売をする上で、「パートナーシップ」の構築は大切で、商売を共にするパートナーとの関係は商品を売る上で非常に大切です。
つまり、「苦しい時も、順調な時も、苦楽を共にする」、という姿勢がビジネスでも問われるのです。
中国の言葉にこの言葉に匹敵する言葉があります。
【风雨同舟】
営業をしていると数字に追われますが、パートナーとの良好な関係が何よりも大切だと骨身にしみた大失敗談でした。
これから中国で営業をやるあなたへのメッセージ
お疲れ様でした!
今回は、私の本業の経験談をお話しするような内容になってしまいましたが、これから中国で営業活動をやる方や既にやられている方へ少しでも参考になれれば、という思いで記事を書きました。
営業活動って会社の売上を作る為の活動だから、「ヒト」、「モノ」、「カネ」が常に渦まいていて、どれをとっても大切で、もしそのどれかに何か不都合があったら大問題になり、会社だけじゃなく自分自身も担当者として始末書どころか降格や左遷の対象になったり、酷い場合には解雇の対象になったりする可能性もあるので、用心してゆかなくてはなりません。相手も原因と責任をこちらに押し付けてくることも大いにあります。
私もその昔、中国の仕事も生活も「首の皮一枚」になった時がありました。もう駄目だと思いました。「退職願」まで書いて社長に提出した事さえあります。
でも、その時、私を見捨てなかった社長と家族には感謝しかありません。
悪いことばかり書いていますが、でも、その一方で、会社の業績を左右するのもあなた次第。売る商品がしっかりしていれば、あとは極端な話、営業の腕一つなので、大いにやりがいがある仕事です。
「自分が会社を引っ張っている」
「会社の業績を良くしている」
「社員の生活を守っている」
なんて、経営者張りの視点で物事を考える事が出来るようになっている自分に、いつか気付くはずです。その時には大いに成長している自分に気づくことが出来るでしょう。自分の努力で、注文が入り、売上が増え、会社の業績が良くなり、会社に利益をもたらした時の達成感は、何物にも代えがたいものです。正に営業冥利に尽きるでしょう。結果がついてくれば、自分の待遇や処遇もきっと後から付いてくるはずです。他の方はしっかりあなたを見ていますよ。
今後も、こう言った中国での営業の新たな経験談を書いてゆければと思います。私は常々本業では中国国内の様々な都市へ出張をしているので、実に毎回いろんなことが起こっています。そのたびに得た事や反省すべき物事が起きて、新たな思考が生まれ、次に生かしてゆこうと思っています。
最後に、8月の真夏の暑さのど真ん中を迎えていますが、くれぐれも体調に気を付けて、元気に過ごしてくださいね。私も頑張ります。(仕事もブログもね!)
それでは、また!
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